中国

コダリ

四川省からこの山間の街に嫁入りしてきた 小さな火鍋屋の女主人は話し好きで。 「ここらへんの景色はきれいですね。」と話したら、 「ここらへんなんて何もないじゃない。」 「あるのは谷だけ。ここよりも林芝や玉樹、四川の チベット自治州の方がきれいよ。…

ニャラム

朝、バター茶とザンパをご馳走になる。 でも二日前から胃がムカムカして飯を食べられない。 高度と疲れのせいなんやろうか。 インドで大量に買っておいた経口補水液の粉末を 水に溶かして飲み、おかしをかじるだけで精一杯。 あと、オナラが大量に出る。 一…

孔腊

チベットには「おばけ坂」というものが多い。 目で見ると平らな道なのに、実は上っている、とか 上っているように見えて、じつは下っている、とか。 視覚なんて頼りにならず、 自転車を転がしてみて上りか下りか初めてわかる。 平らな道を走っていて あれ?…

オールドティンリー

エベレストはどれだろう。 武装警察の検問が前方に見える。 2週間ほど前にここを通ったサイクリストが 一時的に拘束されたあと、国境まで強制移送されている。 そんな情報をラサで得ている。 まあ、ここを通るしかないわけだけれど。 「停まって、記帳して…

ティンリー

夜中に降り出したミゾレ。 量は大したことないんやけど。 自転車のギヤからディレーラー、Vブレーキ。 細かいところまでしっかり凍らせてしまって動かない。 谷から水を汲んできて自転車にかけ、 ジワジワと溶かすつもりが、 早朝の谷は日が入り込まないおか…

ラツェ

夕暮れ時を走っていると犬がついてきた。 なにやら利口そうな犬。 人気のない谷沿いの道を登っていて あと30分ほどで日没という時なので、 頼もしい。 一緒に野宿してくれたら面白いかもな、と 持っていたジュマをちぎってやる。 ものすごい喜ぶ。 普段ザン…

シガツェ

朝は予定通りザンパ。 ああ、そんなにたくさんは要らないよ。 すこーしでいいから、すこーしで。ああ。 で、こねるのが下手くそな僕のかわりに 絵画職人がこねてくれる。 手きれい? さらに、今までになかった「砂糖」を加えてくれる。 すると、あら不思議。…

仁布

たまにある猫の額ほどの平地で 小麦を作っている。 青海側は街から街まで人の姿を見かけず、 何十キロもツンドラの荒野が続いた。 チベット自治区に入るとポツポツと街の間に 家が見かけられるようになり、ヤクを多く見かけるようになった。 ラサ周辺からは…

ラサ

4000mより下に降りてくると草木が生えていた。 大地に生気を感じる。 あー木だ。木を見るのはゴルムド以来だ。 なんだか心に安心感が広がる。 でも、すぐに違和感を覚えた。 どれも人工林なんだなあと。 ラサに近づくにつれ、中国政府の気配を濃く感じ始める…

羊八井

カサカサとテントの際に雪が積もっていく気配。 朝、テントのジッパーをあけるとあたり一面真っ白だった。 青海省側とちがって、ここらの雪はベタベタと湿っぽい。 服に着いたときから雪の結晶もつぶれてしまっていて、 すぐに水にかわって物を濡らす。 が、…

当雄

「チャー トン(茶を飲め)」 巡礼の皆はとっくにスタートしていて、大きなテントの中には 子供とおばさん、ドライバーと老人だけが残っている。 「マー(バター)を入れなさい。」こうやって飲むのさと、ドライバーのおっちゃんが 茶の表面で溶けるバターを…

桑雄

テントを張る場所が見つかりそうにない。 もうナイトランはこりごりだなあ、と夕暮れ時。 道沿いにテントを見つけた。 ラサに向かう巡礼者のものだった。 ここにまぎれこんでテント張れば 公安に怪しまれないやろう。 テントから出てきた青年に 「近くにテン…

アムド

夜中、小便がしたくなったけれど 外に出るのが億劫なのでコップの中に出して そのまま寝た。 朝起きると、小便もテントの中のペットボトルの水はもちろん テントも寝袋も水分なんてないはずのバッグでさえバリバリに 凍りついていた。 テントの外に腕時計を…

唐古拉山

青海省とチベット自治区の境、 標高5200mの峠を越える。 ちゃんと舗装路があり、勾配は意外とゆるやか。 この程度の坂は雲南でいくつも登ってきたのになー、 息が続かないなー。 数十両連なってラサから来る軍隊の車に出会う。 「あの輸送車の列は何ですか…

雁石坪

夜中に宿に困った団体客が来たらしく 彼らの食いかす、タバコの吸殻が床に散乱している。 警察の施設だというのに自国民は強気だなあ。 僕はビビリまくっているのに。 朝7時。 床暖房は消されて、窓も全開。 「よく眠れたか?」 「悪いけど、起きてほしい。…

トトフ

これから先のチベット自治区に行くには 外国人旅行許可証が必要だけれど、 自転車旅行の我々にそういうものは絶対に下りず、 公安に捕まったらなんらかの罰を受けることになる。 午後八時。完全に日が落ちた。 その気はなかったけれど、適当なキャンプ地を …

五道梁

ゴルムドを出て標高4100m地点で一泊したみたら 高山病の気配がまったくなかったので 走り出すことにした。 草原のなかを走る。 午後から天気が崩れ、向かい風きつく 目標にしていた町にたどり着けないことがわかって草原の中でキャンプをすることにした。 さ…

不凍泉

自転車のタイヤが路面を擦る音しかない。 来たなあ、俺。 で、走り出して3日目。標高4600m地点 一番心配していた高山病にみごとにかかった。 頭痛だけではない、下痢、発熱、肺の痛み、 よくいわれる症状はすべてでてきた。 なんて素直な体なんだ。 一応、水…

ゴルムド

貴重な1カ月ビザ30日。 練りに練ったプランでどうやら29日間は 走行にあてられる。なんとかなるかも。 とりあえずの目的地は青海省ゴルムド。 23時香港九龍地区をでる。 午前0時すぎに中国、深センのイミグレを通り、 そこから深セン宝安空港まで自走ナイト…

マカオ

香港にはビザを取りに来たのにビザが取れない。 ああ。 ついてないなあ。 広州で11月にアジア競技大会があるおかげで 今月から当局が3カ月ビザの発行をストップしているのだと。 今はMAXで1カ月しか取れない。 そんなら、ここまでくる必要はなかった…

香港

香港にいる。 チベット行きのツアーを購入する直前、 念のためにビザのことやらを再度旅行会社に確認してみると 中国の国慶節(10月1日の建国記念日)前でビザ延長できない可能性が強い。とのこと。 あー、そういや、そういう季節か。 昨年の今ぐらいも中国…

磨憨

ラオス国境2km手前 中国は国産トラックばっかりだったので ISUZUの文字を見た時なんか変やな、と思ったら。 ラオスナンバーの日本産のトラック。 久々の平らな舗装路。 速い!速い!時速25kmキープ。 以下、とある人へのログ。 民間療法的な体長維持の方法 僕…

勐腊2

中国。顔が似ている奴らが こんなに無礼で無作法であることが許せないと 東北地方を移動していた僕は綴っていたけれど 南へ南へ来るうちに、慣れて許せて あと二日で出国、今は名残惜しい。 北朝鮮国境にほど近い鳳城という街で 訪ねた宿がすべて外国人宿泊…

勐腊

あと65kmでラオス国境。 雨と霧に阻まれた苦しい登坂だった。 雨が降れば、棚田も濁る。 初のスポーク折れ 思いのほか、時間がかかってしまったので 中国元を片田舎で切らしてしまい、 これは最短ルートをそれて主要道沿いの銀行にいくか、 野宿でなんとかや…

老勐

春節はイ族の家で過ごした。 2000mあたりに鮮やかな刺繍のイ族やチベット族が住んでいて、 その下の1500m前後に稲作をするハニ族、彼らの服はイ族に比べると地味。 その下に独特の黒い帽子のヤオ族、 その下の川沿い、バナナの生えているあたりにはタイ族。 …

元陽2

元陽

標高2000mから300mへ直下高。 北回帰線を越えてトロピカル。 今までどうにかならなかったことは一度もないし、 という気持ちで日暮れ間近の山道を降っていったのだけれど 40kmの道のり、宿が一つもなかった。 テントを張ろうにもずっと断崖絶壁の山道でまい…

通海

毎日晴天ばかりで、とても乾燥しているのだ。 雲南に入ってから3カ月、雨は2回だけみた。 峠で火事があった。 旧正月を前に慌ただしい中国人。 それにしても道の真ん中で大人が走り回るなんて なんか様子がおかしい、とおもいながら進むと レンガづくりの家…

昆明5

僕を探しにホテルを訪ねてきた日本人か韓国人がいるらしいのだけど 誰だろう。心当たりがまったくない。 なんか怖いなあ。

昆明4

2ヶ月前に買ったパソコンが日本から届きまして。 加藤さんありがとう。 Let's noteのかなり古い型で35000円。 これで、いちいちAjaximeを立ち上げずにすむし、 もちろん無線LANもできるので、気の利いたホテルではネット代を 払わなくてすむし、 1kgの重量…