唐古拉山
青海省とチベット自治区の境、
標高5200mの峠を越える。
ちゃんと舗装路があり、勾配は意外とゆるやか。
この程度の坂は雲南でいくつも登ってきたのになー、
息が続かないなー。
数十両連なってラサから来る軍隊の車に出会う。
「あの輸送車の列は何ですか?」
と聞くと
「長期和平的」
と人は書いてくれた。
この車列、ゴルムドをでてから
きっちり毎日すれ違う。
ラサ方面から来るのと、ラサ方面に向かうのと。
鉄道も空路もラサとつながっている時代に
わざわざ長い隊列を組んでの威圧的な輸送。
政府の嫌らしい意図を感じてしまう。
安全には配慮しているらしく、大きく避けて走ってくれ
時には手を振って応援してくれたりするのだけれど、
30分くらい続く車列の横を走るのは気分がよくない。
後々、彼らが通るときは休憩時間にあてることにした。
さて、唐古拉山の峠。
これを越えるとチベット自治区に入る。
峠にチベット人の商店があり
そこでインスタントラーメンを食べた。
無性に眠い。そう、この眠気が高所ではクセモノ。
こいでいても眠い。
5200mからの下り道。爽快に一気に下る予定が
また運悪く、その長期和平的車列に遭遇する。
あまりの高度で燃料が不完全燃焼を起こし、
ときに「ボンッ!」と発破かと思うぐらいの音を立てながら下っていく。
真横で鳴らされるとあまりの爆音に心臓が止まりそうになる。
とおりすぎた兵車から黒い不完全燃焼の煙がでている。
あー、そろそろ鳴るなあ。
「ボンッ!」
やっぱり。
いったん5000m以下に下ってからまた登り。
日が落ちたころにたどりついたのは5100mの峠。
坂道沿いは左右ともに湿地帯で
テントを張れそうな場所はなく、峠で野宿することにした。
5000mを超える場所でのテント泊。
どうなるか、楽しみだった。