香港
チベット行きのツアーを購入する直前、
念のためにビザのことやらを再度旅行会社に確認してみると
中国の国慶節(10月1日の建国記念日)前でビザ延長できない可能性が強い。とのこと。
あー、そういや、そういう季節か。
昨年の今ぐらいも中国にいて、9月29日北京に入ったら
道路は検問だらけだわ(自転車はスルーだった)、宿からは数十メートルしか出られないわ、道路を戦車が走るわ。
国慶節の威力を見せつけられた。
ともあれ、ビザ延長できなければラサに
ランクルで行って帰ってくるツアーだけで終わる。
それは僕の興味とはかけ離れたものなので断った。
行く気になっていたので、なんだかとても意気消沈。
けれど、落ち込んでいるうちにも
確実に季節は冬に向かっていくわけで
本当にがっかり落ち込んだ後、
次の手を、ということで。
あれこれ考えず、ビザがとりやすいという
香港にネパール航空直行便で飛んできた。
この数カ月、やたらと飛行機で輪行をしているけれど
ネパールの空港は一番簡単だった。
梱包が面倒くさいのもあるけれど、
自転車は分解しない素の状態が一番丈夫だと思うので
できるだけそのまま空港に乗りつけるようにしている。
そして、できればラップでグルグル巻きにするのが
ベストだと思う。
ダンボールだと、中身が見えずコンパクトになっている分、空港スタッフがやたら手荒く扱う。これは経験済みだ。
で、チェックイン時に、どのように自転車を預ければいいか?と聞くと
「タイヤの空気を抜くだけでいいよ。」
とのこと。
ハンドル、ペダルを外したり、前輪外したり、ラップでくるんだり、
そんなことは一切しなくていいらしい。
あーなんて楽チン。
でも、これが香港で裏目にでるんだな。
夜、香港に着く。
香港国際空港は市街地から35km離れた島にあって
その間に一般道は走っていないので公共交通機関を
使う必要がある。
荷物受取所に到着すると
空気入れたら乗れる状態の自転車が置かれていた。
あー、相棒よ。寂しそうやね、待たせたね。
で、荷物をいつものように搭載して税関を抜け
市街地に向かう列車に乗ろうとすると
「ダメです、自転車は乗せられません。」
バスもダメ。
タクシーも無理やりトランクに自転車を乗せようとすると、乗車拒否。
1台に断られると、それを見ていた後続の車も
面倒くさそうに車内から首を横に振るだけ。
ほんなん、ここから出れんやんけ。
僕はアジアのテキトーなかんじに慣れきっていて
きっちりしていて非常にまともな香港の人の対応に
とても違和感。
まあ、それにしても市街地に行かなくてはならないわけで、
一番可能性が高そうな列車の
ダメです一点張りの末端従業員に
「そういわずに僕の状況を考えてみてよ。」と
泣きついたら、チーフらしき人がでてきて
「あなたには、これこれこういうソリューションが
残されています。」
と、やけに理論的に話されて、さすが香港
面倒な客の対応に慣れているなあと感心して
素直に引き下がった。
タクシー乗り場に再度戻って
仕方なく、タイヤを外し、ハンドルを外し、
その場で出来る限り小さくしてみる。
それでもやっぱり、乗車拒否が続いて
へたっていると人の良さそうなドライバーが
「乗りなさい、乗りなさい。」と。
あー、なんだかとても疲れた。
タイヤを外したら自転車はただの鉄の塊。
早く自転車乗ってどこかの目的地に走りたい。