高知

発作の向こう

三十五日目。 あせも対策にはベビーパウダーがいいよ、とOさん。 どんな風に使うのか見ていたら、指でつまんで ロージンバッグのように手にまぶし、 豪快に股や背中に擦り込む。 湿っぽい空気を忘れさせてくれる優しい香りが広がる。 いいなぁ、次にでっかい…

死地を求めて

三十四日目。 ダムで一人というのは、なかなか心細いものだったけれど ちゃんと眠れた。 毎日毎日、今日はちゃんと眠れるかどうかばかり考えている。 寝るために歩いているように思えてくる。 39番延光寺に午前中についた。 これで、長かった修行の道場も終…

珊瑚

三十三日目。 朝7時半に朝食をいただきに、丘から下りた。 珊瑚の加工品を売っているというご夫婦。 日本の珊瑚の大部分が宿毛市にあつまるということや、 ミッドウェー産、地中海産、土佐産 の見分け方を教えてもらった&珊瑚のアクセサリーを いただいた。…

三原村

三十二日目。 目が覚めると テントの外が紫色だった。 夜が明けると見慣れた世界。 朝飯代わりの粉ミルクをつくりながら 近くでテントを張っていたフランス人カップルと話す。 日本にはいつまで?ときくと、 「四国にこの前きて、これから北海道に行って 1カ…

草をひく

三十一日目。 夜中の大雨で目覚めた以外は、 久々の屋内のおかげで熟睡。 「おーい、作業始めるぞー」と、あぁもう7時か。 池の小島の草を抜く。 どういう風に抜けばいいですか?と聞くと、 「やりたいようにやればいい」と。 ↓ やりたいように草を抜くのは…

雨水風呂

三十日目。 波音から一刻も早く逃れたかった。 6時にテントを畳んだ。 久々にテントに朝露がついている。 ほんとに地球ってのはめまぐるしく活動しているもんだ。 朝飯のパンを買い忘れて 空腹のまま歩いたけれど、店がなくて参った。 米を炊けばいいけれど…

帰りたくなった

二十九日目。 スナックパンを数本食べて出発。 7時ぐらいまでに何km歩けるかで その日歩ける距離が決まる。 まぁ、ゆっくりいけばいいんやけど 今日こそは60000歩、40km歩こう という気持ちもどこかにある。 こころへんの川はどれもきれいだった。 足をつけ…

仙人登場

二十八日目。 今までで一番の快眠を得て またもや一週間の壁をクリアした僕は このとき、心から気分爽快だった。 朝、トイレに向かうと 駐車場はサーファー仕様のハイエースだらけ。 そういや、今日は日曜か。 さらに海の日か。 遍路の白衣は浮きまくりだな…

絶景

二十七日目。 なんなんだ、小屋の隣のコカコーラの自販機は! 宇宙人みたいなピコピコ音を夜通し鳴らしやがって、 気持ち悪い。 おかげで寝不足。 今日から学校は夏休みのようで 朝方、すれ違い際に「おはようございます」と声をかけてくれる 田舎の小中学生…

有り難い2

二十六日目。 昨夜、 横になって、さぁ寝ようかという9時頃 人の気配がしてテントを出ると遍路装束のおじさん。 こんな時間に人が来ると思っていなかったので 山側のいい場所にテント張ってしまっていて。 夜中、車が水しぶきをあげるごとに 車道側で寝てい…

有り難い

二十五日目。 朝6時半 昨日の人は近くの喫茶店のご主人で 立派な朝食をごちそうになり、そのうえ、おにぎりを持たせてくれた。 有難い。ほんと。 ここの物産品売り場で米1.5kgを買った。 ちと重い。 ラジオを聞くと 今日の降水確率は50%。 大気の状態が不安…

どうして歩いているんですか?

二十四日目。 浦の内小学校の質問箱 「どうして歩いているんですか?」 難しい質問だな。痛いところを突かれたような気分。 すぐには答えられないな。 あぁ、起きてから何も飲んでいない。 水が汲めそうなところもないので困っていると おぉ、高知名物小夏み…

ジュンコウセン

二十三日目。 熟睡。 昨日頑張りすぎたのか 足裏にマメを発見。 できたら最後、まぁゆっくり歩くか。 36番青龍寺 横綱朝青龍のしこ名はこのお寺から。 近くには朝青龍の母校明徳義塾。 36番から37番に向かうにはルートが二つあって。 外海沿いを通るのと浦の…

酷暑

二十二日目。 朝5時半出発。 次の33番雪渓寺までは 渡し船に乗る。 早朝の33番雪渓寺 僕は本日、4番目の参拝者らしい。 34番種間寺 暑い。 それにしても暑い。 コンビニというコンビニ。 公衆トイレという公衆トイレ。 あらゆるところで水を汲んでは飲み 汲…

迷故三界城

二十一日目。 朝方ようやくウトウトできた程度。 まぁ、こんなもんか。 30番善楽寺 暑くてうっとおしかったので 今回、頭を丸めてきたら 「おにいちゃん、お寺の跡取り?」「高校生?」 と聞かれた。ふふ 南国市を出て高知市に入る。 31番竹林寺への登り坂。…

遍路に戻る

二十日目。 1週間ぶりのお遍路。マメは完治。 今回もまた1ヶ月後に診察があるけれど、 順調にいけば1ヵ月内に88番まで回れるはず。 四国一周40日というのが、標準らしいから。 昼過ぎに国分寺に着く。 通しで周らない場合は、最後に行ったお寺の 大師堂から…

This Is Not The End

十九日目。 夜中に雨。 完全に油断していた。フライも適当にかぶせて 窪地のようなところにテントを張ってしまっていた。 気づけばテントは浸水。 3時頃から、ひたすらタオルで拭いてはコッヘルに絞り また拭いての繰り返し。 いつも首に巻いているこれが役…

お遍路の静かに去っていく桜

十八日目。 1週間の壁を越えた。 鬱と不安のミクスチュアがどれだけ醜いかなんて 所詮、常人にはわかるわけがないのだけれど、その中での達成。 この喜びは共感してもらえるだろうか。 さて、夜ひっきりなしに響いた車の騒音に嫌気がさして、 起きるとすぐに…

一週間の壁というのがあって

十七日目。 やっぱ二人は違うぜ!ぐっすり眠れた。 体もひさしぶりに調子が良い。 朝からガンガン飛ばして歩くと 僕の熱に比例して気温もどんどん上昇する。 お、新記録 38℃、これはバリを超えた。 バリ以上に過酷なところを歩いているんだと思うと 嬉しくな…

十六日目。 朝起きると 目の前に何やらパトカーが。 え、僕? と思ったらすぐにどこか行った。 野宿て、ほんとに気をつかう。 朝メシ風景 出ようとすると雨。 思いっきり憂鬱。 今日行く予定の 27番神峯寺は高知随一の難所らしいのに。 山道を歩き出そうとし…

二帖の畳

十五日目。 朝はまたしんどかったけれど 歩きはじめると楽になった。 それにしても室戸市はでかい。 かれこれ4日目。 ゆっくり休みながら歩を進めていると 羽根というところでいつも左手にもっている 数珠をどこかで落としたことに気づいた。 iPodなんて…

今日は休養と決めて

十四日目。 ここで寝た。 海の駅とろむではイルカが飼育されている。 早朝のイルカの鳴き声。神秘的やった。 会社員のとき、水族園がクライアントだった僕。 懐かしいなぁ、なんか。 さて、昨日に引き続き 体がだるい。足が痛い。 朝飯をきっちりつくったら…

室戸岬

十三日目。 こんな気の重い朝は初めてで。 朝5時起床、もう一泊しようかと思う。 足の裏のマメが尋常ではない状態だから。 マメの下にマメがあり、その下にもまた、みたいな。 でも、せっかく雨があがっているので出発することにした。 まだあと18kmも。 ト…

修行の道場へ

十二日目。 カラスの鳴き声で起きた。 ここから室戸岬までは50km。 今日は昼から大雨らしいと、昨日聞いていて。 地図をどれだけ睨んでも、途中に泊まれそうなところは一カ所だけ。 室戸市佐喜浜町。 ここから35km先になる。 間違いなく、今までで一番長い距…