迷故三界城 - 自転車世界一周配達日誌archives

二十一日目。

朝方ようやくウトウトできた程度。
まぁ、こんなもんか。

暑くてうっとおしかったので
今回、頭を丸めてきたら
「おにいちゃん、お寺の跡取り？」「高校生？」
と聞かれた。ふふ

南国市を出て高知市に入る。

31番竹林寺への登り坂。
けっこうな勾配、と思っていたら猛烈な吐き気が。

蚊の巣窟の山道で休憩するか、
吐き気に耐えて登るか。

結局その場でうずくまった。
蚊よけスプレーをふりまくっても滝のような汗で
すぐ流れていくけど。。。
蚊に耐えて水飲んでじっとしてたら治まった。

先週とは違って、梅雨は明け
気温は連日30℃を超す真夏の高知。
気をつけないとな。

雪ではなくて石灰。

途中、喫茶店からお茶と飴と梅干しのお接待。
お茶、がぶ飲みしてすいません。

このあたりは札所間が長い高知の中でも
比較的札所が密集しているエリア。
31番から6kmで32番禅師峯寺につく。

お寺の紹介で近くの善根宿に泊まることに。

退職金で高知に善根宿を建て
年金を削って「お接待させていただいてる」
というご主人。

色々話したが、印象に残っているのは
「楽しいことをしに海外に行ったのに、
　そこで鬱になるってのは、ようわからんなぁ」
僕もようわからんのです。

混乱する頭、
寝床で読んでと言って差し出された主人の随想録をめくると

「この秋は雨か嵐か知らねども
　今日のつとめの田草とるなり」

ご主人の奨めるこの言葉、思想に心打たれた。

誰もいない砂漠で発作が出たらどうしよう、などと
僕は先々の不安ばかり考えてやられてしまった。
今にしても同じ。
不安になって先のことを考えても、生み出されるのはさらなる不安。

一歩一歩、この今、進むことだけ考えようと思ったら
とたんに気が楽になった。
次の寺の名前も知っておく必要がない。そんな
気持ちでいこう。

遍路装束の菅笠には同行二人のほかに
本来無東西、何処有南北、迷故三界城、悟故十方空
と書かれてある。

東西南北はおろか、今ここ以外に元々何もない。
それ以上のことを考えようとするから周りが城に囲まれる。
今ここだけを考えれば十方が空となり、心が安らかになる。
そういうことかもしれん。

本日の歩数
29930歩
トータル
633310歩