ゴーヤマン - 自転車世界一周配達日誌archives

三十六日目。

夜中、雷を伴って大雨がふり、
寝床のトタン屋根はすさまじい音をたてていたけれど、
気がつくと朝だった。

どうやら眠れたらしい。

朝一テントを出るときの足の痛みは相変わらず、
けれど心の方はそう痛んではいなかった。
7時前に出発。

ひめぎんの文字。
菩提の道場、愛媛県に入ったことを実感する。

10km先の四十番観自在寺に10時に着いた。
山門をくぐると、やけに人懐っこいにいちゃんに声をかけられたが
居着きのホームレスかと思って、軽く挨拶して本堂に向かった。

今日も昼はとても歩けたものではない暑さ。
炎天下の一本の木がたくましく見える。

国道沿いのファミレスの裏に公園があり、
そこで米を炊き、昼食。食べ終わって、さて昼寝でもして
この暑さをやり過ごすかと思っていると
何やら、作業着の人がぞろぞろと来て芝生を刈りだす。土埃激しい。

仕方なくザックを背負って、殺人的な暑さの国道を歩きだすと、
後ろから「おーい」と呼びとめる声が。

振り返ると、観自在寺で会ったにいちゃんが。
「僕のこと、たぶんOさんから聞いてると思います」と。
あぁ、君が噂の
東京から無一文ヒッチハイクで四国にやってきて、
お接待でなんとか食いつないでここまで来ているというゴーヤマンか！

なぜ、ゴーヤマンと呼ばれるかというと、
Oさんが会ったときに生ゴーヤをかじっていたらしく、
それがかなり強烈な印象だったらしく、従ってゴーヤマン。

ナスやインスタントラーメンも生で食べるという彼。
とても24歳には見えない、やつれよう。
Tシャツはボロボロで、なんかもう、リアル貧乏神。

彼に誘われるがままファミレスに入るとOさんが。
お金を送金してもらったので、ちょっと豪勢に外食中
とのこと。

夜はこの二人と一緒に
海沿いの野球場横で寝ることになった。

ゴーヤマンの無銭ヒッチハイク話は壮絶、
何も食えない日があるという。そりゃこの体型になるわけだ。
でも彼の語り口は爽快且ついかにもこの生活が楽しそうで、
ロウソクをつけて夜中まで話を聞いた。

ゴーヤマン、
テントはもちろん蚊取り線香買う金などあるはずもなく、
道で刈ったヨモギを昼間干したものを焚いて蚊よけにしていた。

空き缶を使ってヨモギ焚き器をつくってあげると
とても喜んでくれた。
図工はずっと5やったからね、僕。

思えば、久し振りに一人ではない夜。
しかも3人。楽しいわけだ。

本日の歩数
34286歩
トータル
1047353歩