シャンルウルファ
恥ずかしいので早起きして誰もいない畑にウンコをしに行く。
雑草の先の朝露がきれい。お遍路を思い出す。
朝飯を子供達と食べ、シャイを続けざまに何杯か飲んで。
さぁ、別れや。
アブ・アブド氏は別れ際に両頬をくっつけてキスをする。
髭がジョリジョリと痛く、照れくさい。
「世界を全部まわってきたら、またここに戻って来なさい。」
それをジェスチャーだけで伝えてくれる。
いい家族だったなあ。
ビザは明日で切れるけれど、
何があるかわからないので50km先の国境へ急ぐ。
シリアはカメラを盗まれたけど、来れてよかった。
素朴でやさしい男達。僕のすきな人種がとにかく多かった。
国境。
イミグレの係官
「ビザは15日と書いてある。問題だ。」
僕「でもアレッポのイミグレで30日の滞在は問題ないと
係官が言ったのです。」
イ「本当かどうか確かめる。」
20分ほど待って、パスポートにバンッと出国スタンプが押される。
緩衝地帯の向こうにトルコの真っ赤な国旗がはためいている。
トルコか、遠いところまで来たなと思う。
「パスポート。」とリンゴを食べながら言ったのは
トルコの女性の係官。
女性がこういうところで働いているのを
アラブの国々ではみなかったので新鮮。
トルコに入る。日本人は90日間ビザ不要。
看板がアルファベットで書かれていて読める。
通り過ぎたあとも自然に脳裏に単語が残っていて
模様じゃなく文字を見ているんだな、と気づく。
アラビア語ははなからなーんも目に入ってこなかったけど。
この調子だと一通りのトルコ語覚えるのは早そう。
今日目標にしているシャンルウルファまで国境から
さらに50km。
どういうわけか、膝が痛い。
この感じは日本で名古屋ー大阪を1日半という無茶を
したときの痛みと同じ。
止まってこぐのをやめたいけれど、
両替所もATMも国境には無く、
手持ちのトルコリラがないのが不安なので
市街地まで仕方なくこぐことにする。
バッグからチベット登坂のときに使っていた
サポータを取り出して履くと少し楽になったけれど
そのままこいでいると治るのに数日かかる痛さになった。
やっちっまった。
街に到着。電光掲示板がピカピカ光る都会や。
ヨーロッパ行ったことないけど、ヨーロッパっぽい
整然としたかんじがある。
街行く人の顔はシリア人となんも変わらず、
女性もスカーフをしている。あれ、トルコってスカーフ禁止やなかったけ。
でも話す言葉は一切わからない。
アラビア語より柔らかい音や。
大学時代の友達がトルコ語専攻だったので、
妙な単語だけ知っている。
ゲッチュミッシュオルスン(お気の毒に)
タフシャンデシュリ(ウサギの歯、転じて出っ歯の意味)
ひどいもんや。
まったく使うタイミングがない。
と思っていたら、
「ジャポン、ゲッチュミッシュオルスン!」
とトルコ人から言われた。
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