アッサウラ
ユーフラテス川中流にある大きな人工湖
アサド湖畔でキャンプして、
朝起きてふとバッグをみるとデジカメが
無くなっていた。
まず手元には戻ってこないやろうと思う。
警察の取調べ中、
「怪しい人物は誰だと思いますか?」
思い返すと
バッグから目を離していた時間が意外に長いことに気づいた。
トイレに行っていたとき、近くの家に食事をお呼ばれしたとき、
夕方散歩しているとき、あぁ、完全に油断していたなあ。
「出会った人をすべて話してください。」
あの時、まわりにいた人を疑うんかぁ。
皆、いい人っぽかったけれど。
テントを張る前に寄ってきた子供達。
「あなたが歌ったら僕達も歌を歌うよ」
シリアはほんまに人が良かっただけに
裏切られた気分で余計に腹が立つ。
しばらく誰とも話をしたくなかった。
警察の取調べは、中東らしいテキトーさはなく丁寧。
ちゃんと現場に行って聞き込みもするし、
英語教師を学校から呼んできてくれたおかげで
意思の疎通ができる。
中途半端な言葉の励ましよりもこうやってキチンと
対応してくれることが何より心の薬になる。
まぁ、仕事はとてつもなく遅いんやけど。
「一つの悪い出来事ですべてが悪くなる。」
少し英語のできる警察官がそう繰り返し言う。
(シリアの手錠はイギリス製かスペイン製なんだと。)
警察署に朝9時に行って結局、解放されたのが夕方4時。
日没まであと1時間半しかなかったけれど、この街には
居たくなかったので、出発。
ユーフラテス川を渡り、北上する。
「夜になると、泥棒が出るよ!」
泥棒(ハラミーヤ)という単語が出てきたので、
一瞬カメラのことを何で知っているのかドキッとしたけれど、
違った。
羊を放牧中のベドウィンがそう忠告してくれる。
で、日没後に移動するのをやめて少し先の
ベドウィンの集落で一泊お世話になることにした。
もう一度シリア人を信じてみるかな、という気分。
さぁこの遊牧民はいい人なのか、そうでないのか。
なにやらコソコソ話が多いのが気にかかる。
31歳の誕生日はベドウィンテントで迎えるのさ。
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