ナバク
(ダマスカスの歯医者。歯を詰める。1000シリアポンド=2000円)
路上のシリア人は素朴で親切。
アジアとも欧米とも違う論理で世の中動いているようで、
清々しいかんじがしていたのに。
4日間のダマスカス滞在で
3軒ホテルを変えた。
どうも居心地が悪かった。
首都の宿の中、その空間だけ妙に欧米チックで面食らう。
なんというか、小気味のいい冗談を言うことには長けているのに、、
実の部分はがめつい。
気持ちよくさせてあげるから、きっちりお金はいただきます的な。
安宿にそんな「洗練されたかんじ」は求めてないんやけどな。
ああ、外とのギャップについていけない。
異常なのは中のほうだ、
外に出よう。
ダマスカス市街地を抜けたところで朝飯を食べる。
代金を払おうとするとまさかの「お金は要らない。」。
ほら、外はこうや。
言葉が通じないぶん
フレンドリーさを人はあの手この手で表現したくなる。
僕だってそう。
登り坂が始まる。
シリアはダマスカスからアレッポまで
高速道路沿いを進むだけなので
地球の歩き方の大雑把な地図でいいやと思っていたけれど
こういうゲリラ峠にぶつかると、
ちゃんとした地図が必要やなって思う。
予定よりだいぶ手前で日暮れ。
宿はあるにはあったけれど、1泊40USドルとクソ高い。
無理です。
泊まらずに、日が暮れてからも走る。
どこかにいいテントを張る場所ないかな、とあたりを
うかがいつつ走るけれど、そもそも、そんな気はないので
どんどん走ってしまう。
最近のテント泊は全部人目につく場所スタイル。
商店の軒先とか、民家とか。
うるさかったり、お世話になるのが億劫なときもあるけれど
それでも、万が一のことを考えるとこっちのほうが安全だし、
だからよく眠れる。
ガソリンスタンドの横でテントを張ろうとしていたら、
そこは寒いからとモスクで寝させてもらえた。
シリアに限らず、エジプトからずっと
ガソリンスタンドには運転手用の小さなモスクが併設されている。
横になっていると
晩の礼拝をしに運転手達が入ってくる。
「ああ、気にしないで。」みたいなことを言ってくれるけど
かなり恐縮。
礼拝のない夜中になるまで外に出てタバコを吸っていると、
「あんたはムスリムかね?」
といかにも敬虔そうなおじいさんがたずねてくる。
「いいえ、仏教徒です。」というと、
お「えええ!どうしてムスリムじゃないんだ!」
みたいなことを言って、
お「アッラーだけが唯一の神だ。」
僕「アッラーだけが唯一の神ですか?」
と言ったが最後、
目をカッと見開いて
「アッラーだけが唯一の神だ!」
「アッラーだけが唯一の神だ!」
「アッラーだけが唯一の神だ!」
あわわわ。怒らしてしまったのか。
僕「分かりました。アッラー、オンリーワンです。」
お「この木もこの道もこのテーブルも
ぜーんぶアッラーがなんたらかんたら。」
僕「そうですね、全部アッラーがなんたらかんたらですね。」
お「そうだ。そうだ。」
と納得しておじいさんは去る。
なんか今晩は普通には寝られそうにないなあ。
でも、首都の宿の居心地の悪さよりはだいぶいい。
にほんブログ村←横のバナーを押すと、ランキングがあがります&見えます