昆明2


[Flying Tigersを知っている?]と
着くなり相部屋のバハマ人が聞いてきたので、
[知らない]と答えると
日中戦争(中国では抗日戦争)時のアメリカ人義勇兵パイロットのことだと
教えてくれた。


なんでも、ここ昆明で今、その映画のロケが
行われているらしくて、彼はアメリカ兵の
エキストラとして出演しているらしい。
一日の出演で500元(7000円)もらえるんだと。
なんとも割のいいバイトじゃないか。


[日本人のエキストラは必要ないの?]
と話してみたら、
[明日現場で聞いてあげるよ]
と。


戦後60年以上たった今も日本人は
多様な民族構成のこの国をまとめるため
ヒール役として軍服をまとい、貢献している。


抗日戦争のドラマは人気があるのかないのか、知らないけれど
テレビをつければ、何時でも必ず日本兵役の
中国人のへんな日本語を聞くことができる。
日本兵は人物描写のかけらもない卑劣単細胞な悪役で
在中国の日本人の心情なんて、これっぽちも考慮されていない。

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ドラマだからと侮るなかれ、
毎日、莫大な量の悪役日本人が巷に垂れ流されているおかげで
[日本は中国人をたくさん殺したじゃないか]
と、いかにも教育レベルの高そうな欧米風の中国の女の子でさえ、
悪意のない顔で僕につっかかってくる。




雲南なんて辺境にいけば、日本憎しのそんな中国中国した雰囲気が
少しは薄れるのかと思いきや、そこは僕の不勉強で。
ときの国民党政府があった重慶と連合国領のビルマ、インドを
結ぶ重要な補給線が通る雲南西部は、大激戦地。
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正月をすごした騰沖には、抗日戦争記念館があり
中国兵のヘルメットは一つ一つ丁寧に展示されているのに対して
日本兵のそれは透明のケースに乱雑に詰込まれていたし、
[ここでは日本人であることをバラしては危ないよ]と
夜中のラーメン屋さんの老女に言われた時はゾッとした。






さて、アメリカが正式参戦するまで、中国はこの激戦地を通っての補給を
あきらめて、ヒマラヤ山脈を越えての輸送「ハンプ越え」を
行っていたらしいけれど。


今滞在しているホテルの名前は[Hump Hostel]
廊下に描かれた万国旗のなかに日本国旗だけが見当たらない。
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高額なバイト代はもちろん魅力的だけど、
それ以上に、どんなふうにあの日本人が作られているのか
見てみたいなあと。