雲辺寺を下ると - 自転車世界一周配達日誌archives

五十二日目。

畳と布団と浴衣、これがどうも落ち着かなくて
朝方にようやく眠れた。

5時半に朝飯。
自分で炊かなくても朝から御飯がたっぷり食べられる
嬉しさよ。

ご主人に見送られながら6時半出発。
さて、雲辺寺山に登るか。

先に出発していた同宿の方々をどんどん抜く。
山道を朝一番に歩くと蜘蛛の巣が10mおきに張ってある。
汗ふいたり、蜘蛛の巣はらったり、なかなかきついけれど、
ごはんパワーを感じる。いつも食べてるスナックパンとは大違い。

2時間で雲辺寺着。
滝のような汗が一気にひいていくほど
標高900ｍは涼しかった。

下るのがおしくて、
3時間ぐらい境内でぼーっとした。
もう、これほど自分を試されるようなお山は
この先ないんだな、と思うと
88番の結願が想像できた。

山を下って、香川県の舗装された道が眼下に広がった時は
終りが見えた安堵というより、喪失に近い感覚だった。
そう思うと、足は一段と重く。

10km先の67番大興寺に着いたのが3時。

1月に辞めた会社に、ここ観音寺市出身の先輩がいて、前に
68番観音寺近くの琴弾公園に野宿できそうな場所があると
聞いていたので、とりあえずそこを目指した。

歩いていると、パン、お茶、コーヒー、500円、スイカ、お茶と
お接待の嵐でさすが本場は信仰が篤いと思う。

日没と同時にそれらしき場所に着いて、ぼーっとしていると
ホームレスの男性がやってきて
「本日はよろしくお願いいたします！」
と最敬礼そのものをする。びびった。

テントを張って寝ころんだはいいものの、
油断させといて、なんかわるさをするつもりかな、と隣の住人が気になる。
こうなりゃ持っていたお茶を渡しがてら何か会話をしようと
思って話してみると、
「は！ありがとうございます！」
と会話を拒むように土下座をされ。
何も言えなかった。

本日の歩数
42132歩
トータル
1651963歩