高野山へ(その5)

6日目。
疲れのせいかぐっすり寝られた。


テントの外で
「これはわしのもっとる蛇の皮とガラが一緒やな」
近所の老人と駅員さんが、蛇の抜け殻を見て話している。
蛇の皮を財布にいれるとお金が貯まるんだとか。


そうこうしていると、2人のお客さんが改札をくぐり、
「これで今日はお客さん、あと1人やな。」
「にいちゃん、茶いるか。」


駅員さんにお礼を言い、朝7時駅を出発して、昨日の古峠まで2時間
ぶっ通しで登り続けて昼頃には国道と交わる「矢立」に着いた。


そこで、大阪の私立高校で教員をしている人に出会った。
お餅をお接待していただき、一緒に昼食をとりながら
1時間いろいろな話をした。


目標を立てるときは、
・紙に
・感謝の言葉を
・過去形で
書くと良いということや
100km歩いたことがある、そんな話を聞いた。


その人と、矢立から一緒に歩いた。
矢立からはのこり60町なのだけれど、
最後の方はまさに胸付八丁。



高野山の入口の大門には5時前に着いたが、
大門への最後の登りで左膝を痛めてしまった。


着いたときに、記念写真をとった。
大きく天に両手をつきあげた後で思った。
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2日かかったけど、あきらめずに高野山を登ることができた。
四国もきっとこの足で回ることができる。
世界もきっとこうやって自分の手元にたぐり寄せていける。
行動をすることで自分を治して行くんだと。


アルプスの高峰に登ったわけでもないけれど、
僕にとっては、ここまでの道は大冒険で、この感情が
迷いもなく沸いてきたことが何より嬉しかった。





そこから目的地の奥の院までは平坦な道だがまだ距離がある。
高野山は思っていた以上に広かった。
山の上にある盆地のようだ。
高野山奥の院にいき、今日中に納経(お経をよんだ証拠みたいなもの)を
すませるには5時に着かなくてはならなくて。


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奥の院への道。傍らには大名や企業創始者の墓が続く。


足を引きづるように奥の院につくと5時20分。
あぁ間に合わなかった。



弘法大師入定の地で先生とお別れすると
もう体が動かなかった。


憔悴しきっていると
初夏だというのに、冷えてきた。カッパを羽織って耐えていると
少し柄の悪いお参りのお兄ちゃんが話しかけてきた。


「どこからきたん?」
みたいなところから、色々話している内に
実は彼も古峠から上古沢の駅へリタイアした経験があることがわかり、
駅へのあの坂の勾配の話で「ありえへんよなー」と
弘法大師の前で大いに盛り上がった。


すっかり意気投合し、
なんと今日は大阪にある彼の家に泊めてもらえることになった。
そして、明日は高野山に車で送ってくれて
そのうえ、高野山通の彼が色々案内してくれるという。


車であっという間に高野山をくだると、
申し訳なく思いつつも、眠気がおそってきた。


家で食事をいただき、
たまたまやっていたナウシカを見て寝た。