ロドワル

トルカナ湖畔を走ったときには
ミッションで入れてもらったり、
商店で買ったりと、水の補給はわりと楽だった。
だから、水のない苦しみは体験していない。


ただ、それを飲むときに
その場に人が居たりすると、
とても目の前で飲む気になれなかった。


ここにくる以前も、貧しい国を走っているときは
そういう感覚はあった。
気に留めることはなかったけれど。
そういう国では、日給100円の人なんてザラで、
水2Lがだいたい50円前後。日給の半分。
日本人の感覚からすると1本、5000円ぐらいのもんであり、
買ってられるか、という超高級品。


そして、ここでは
ガイコツ同然の人が歩き、水を汲みに行っている。
老人と同じ木の下で休憩していると、
食べ物をくれ、石鹸をくれ、とせがまれるわけだけども、
突然、その人が痰をプッと横に吐いた。
そんな水分がこの体のどこにあるんだろうと思った。


その傍では飲めない。


そうすると、人目につかないところで飲んでいても
なにかモヤモヤと決定的に後ろめたい感じがするようになった。
でも、もちろん飲むし、時には買った水を頭からかぶる。
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神父に出会った。
砂場を押しているときに会った。


彼自身も痩せていて、
ガイコツのように頬骨が浮き出ている。


一緒に歩きながら、
メインロードから20km離れた村の惨状を訥々と語る。
「湖畔の人々はまだ恵まれている。
魚を売り、現金収入になるから。
でも私の教会がある山の方は、何もない。
人々は草でカゴを結い、それを売って現金を得るけれど
微々たるものだ。」
「政府は彼らの存在を無視しているのか、何もしてくれない。」
「村人は飲み水を得るために、自力で地面に穴を掘り、
底に湧き出る水を飲んでいる。もちろん濁っている。
まっすぐ掘ると崩れるから、大きな大きな穴だ。」
「私財を売払って、村を助けてきたけれど
それはもう限界で、私の健康状態もあまりよくない。」
「人々はただ毎日神に祈っている。」


僕はどの国でも絶対、ストリートチルドレンにも乞食にも
お金を渡さないことにしている。
(それは今の自分の役割じゃないと思うから)
でも、この時は、不思議と話に聞き入ってしまったし、
いくらかの寄付もしてしまった。


普段よりも遅いスピードで進んできたせいなのか、
暑さも虫の多さも身にしみて、俺も苦労していると思いたいが、
日本人に対するような同質同等の同情を持とうと思えば思うほど、
僕もペットボトルも自転車も防水バッグもなにもかも
宇宙人かなにかのように決定的に異様な存在に思え、
それからは水を飲む後ろめたさが、ほんまに消えない。




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