コチャキョイ

ディヤルバクルの宿で出会った台湾人に
「膝が良くなるまで待つのなら、その間一緒にイラクに行かないか?」
と誘われた。


イラクといっても、彼が行く北部のクルド人自治区は、
とても情勢がよろしくない南部イラクに比べて
格段に治安がいい。その証拠にクルド人自治区では
2003年米軍侵攻以降、米兵も含め一人の外国人犠牲者も出ていない。


今はほぼ独立国家状態で、独自の軍隊、警察、行政機構を
持っている。
イラクといってもイラクではない、そこはクルディスタン(クルド人の国)。
そして世にも珍しい、アメリカ大好きな国。
彼らにとってジョージ・ブッシュ
諸悪の権現サダム・フセインを追い払った
まさに救世主なのだそうで。


ちょうどクルディスタンから帰ってきたドイツ人二人組みも
「信じられないぐらい平和だ。」
「今まで30カ国旅してきたけど、彼らの親切さは
間違いなくナンバーワンだ。」
「5日間の滞在で使ったお金がたった5ユーロだ。」
「あそこは地下に油田もあるし、きっと第二のドバイになる。」
「行くなら物価が安い今のうちだよ。」


でも、なんか行く決心がつかない。



「旅行中ずっと雲を追っかけているみたいなんだよ。」
台湾人の彼の行くところ、雨雲ばかり。
目当ての観光地は行ったらどこも改装中。
負けたらウォッカを一気飲みするゲームをやったら
彼は負け続けて、ゲロまみれになるし、
まあ、そんな運のない男と一緒に旅行するのは気が引ける
というのが理由というのは冗談で。


とにかく情報が少ないのと、今の中東情勢はどこで何が
起こっても不思議ではない、というのが決心がつかない理由。
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(トランプのカードを吹き飛ばして、最後の1枚になったら
ウォッカを一気飲みするゲーム)




ディヤルバクルにいると、行くか行かないかで迷いすぎて
疲れてきたので、膝が完治してないのを承知で北へ
エルズルム方面、山道に入っていくことにした。
こういう出発の仕方は、まぁよくある。


自分の本分はレアな場所に行くよりも
自転車で走ることなんでしょう、きっと。
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市街地を抜け、チグリス川を渡ると青い小麦畑が広がる。
ゆるい上り下り。膝が気になる。


やっぱ、イラク行きたかったかな。
でも自分の天性の臆病さにはかなわないな〜
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日暮れ時、きれいな荒地を見つけたので
近くにいた人に
「あそこでテントを張っていいですか?」
と聞く。


「タマーム、タマーム(OK、OK)」

「テントをどこに張るんだ?」
「石をのけてあげよう。」
「ご飯を食べにうちに来なさい。」


クルド人一家。
27人家族。
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夜、対岸の街の上に
街より大きなオリオン座が見える。
やっぱ自分のフィールドはこういう日々にあると思う。
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