ペタリンジャヤ
JARANはマレー語で「通り」の意味。
SS2通りの36番地、そこに手紙の受取人がいる。
差出人はシラチャのブンダリクさんの部下のユリさん。
ユリさんの妹さんは中国系マレーシア人の旦那さんと
クアラルンプール郊外のペタリンジャヤに暮らしている。
クアラルンプールからの道はまるで高速道路で、
左折レーンをまたぐ時はヒヤヒヤする。
それに一度道を間違えるととんでもなく大回りしないと
元の場所に戻れない。
クアラルンプール市内で、
めったに自転車をみかけなかったのもうなずける。
すべての道が車用で危なくて自転車なんて乗っていられない。
自動車がないときっとこの周辺では暮らしていけない。
ビザ取りで時間が有り余っているので、
あえて電話をかけずに、人に尋ねて
その住所に自転車で行くことにした。
「JARAN SS2はどこですか?」
道を聞いたはずが、ご飯をご馳走になったり
とても皆親切だ。
見るからに裕福そうな家の前でインターホンを鳴らして
待っていると後ろで怪訝な顔をした人が立っていて。
その人が受取人の旦那さんだった。
みるからに賢いかんじのお子さんは
この年ですでにタイ語と中国語(北京語)、
英語、マレー語、広東語が話せる。恐るべし。
その訳を聞けば納得で、
母親はタイ語で彼に話し、祖父母は広東語で話し、
父親は英語で話し、それに加えて
学校で中国語と英語とマレー語を勉強している。
「マレーシアでは珍しいことではないよ。」
マレーシアがこんなにも車社会なのは、
裕福な子供を狙った誘拐事件が過去にあり、
それを警戒してどの家庭も自家用車を使って送り迎えを
するようになったのも一因だと旦那さんは言っていた。
夕暮れ時の帰り道はまたひどくスリリングだったけれど
まあ気楽な配達だった。