念彼観音力

五十七日目。


居間から81番白峯寺と82番根香寺がある山が見える。
今日も暑そう。


後輩に見送られて
国分寺の前の角を曲がった途端に
「ちょっと待って」とおばちゃん。
「いい顔してるから」と1000円のお接待。
と、横を通り過ぎるきれいな欧米人遍路。
今日はなんとなくいい日になりそうな予感。


麓でビデオカメラを回す彼女を追い抜いて
白峯寺までの坂を登る。
台風対策で、風が強ければテントはやめて包まって寝ようと
ブルーシートを買ったのだけれど、これが重かった!
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汗びっしょりになって山を登りきり、白峯寺
途中、さっきの欧米人の彼女が追いついて、なんか
会話しようかと思ったら、抜き際に「ガンバレ」と
あまりにドスのきいた低い声でなんか興ざめ。


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根香寺、牛鬼。夜になると動くんだとさ。


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下りはいつものように登りよりもしんどくて、
炎天下をだらだらとくだればすっかり遅くなってしまって
83番一宮寺には納経時間ぎりぎりの5時に着いた。


大師堂で般若心経を何十回も唱える信心深い若い女性がいる。
遍路ではなく、地元の人のよう。
光明真言を唱えた後、聞きなれないお経が聞こえる。
「・・・カンノンリキ、・・・カンノンリキ、」というフレーズが印象深い
とても長いお経。これが、観音経というものかな。
なんかかっこいいな。


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気のすむまで唱え続けているのだろうか、
何回読むと決めているようには見えなくて。
1時間近く読経を続けて、なにやら一応の決着をみたようで
終わるとわき目も振らず寺を後にした女性。
あれほど懸命に祈らなくてはならない、割り切れない思いとは
いったいどのようなものか。
圧倒されていた自分に気づく。


さて、今日こそ寝場所に困った。
香川の遍路道はどこも市街地で、野宿に適した場所が少ない。
河川敷にいけばなんとかなるだろうと、行ってみたら
きれいに芝生が刈られたエリアがあったので、そこにテントを張った。


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香川っぽい山と夕日。



本日の歩数
40554歩
トータル
1799873歩








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