キナ
肉類をしばらく取っていなかったので、
体が欲しがるままに
レストランでコフタという焼き鳥を買ってきた。
パンとサラダがついて、16エジプトポンド(200円)。
食べた。
鳥の味、サラダの味だけれど
決定的に何かが違っていておいしいとは思えなかった。
脂は炭に落ちてさっぱり焼きあがっているはずなのに
それでもなにかむつこくてすぐに食べ飽きる。
ルクソールからナイル川沿いに北へ。
カイロへ向かう。
1カ月ぶりの本格走行なので
初日は控えめに60kmだけ。
北にあるキナという町に向かうことにした。
ルクソールを出ると英語がほとんど通じない世界で、
やっとサイクリングぽくなってきた。
必要に駆られないと、言葉は覚えられない。
とりあえず今はアラビア語
「シュクラン(ありがとう)」しか知らない。
国道に合流すると警察のチェックポイントがある。
2、3kmに1つどころか、交差点ごとに黒いベレー帽を
かぶった警察がいる。
警察のいないところでは、その辺のおっちゃんが
無造作に銃をひざにのせてタバコを吸っている。
彼らは警察なのか民兵なのか、
そんなおっちゃんに銃を持たせていいんやろうか、
と思うぐらい銃密度が高い。
聞いてはいたけれど、これほどまでとは思わなかった。
この先の道はテロを警戒して警察の護衛なしでは
観光バスは走れないそう。自転車は案の定、
例外的に独走が許されるらしいけれど。
機関銃を据えた装甲車がとなりを普通に走りぬけて行く。
ものものしいというのではない。
とても日常的に、誰もが何も気にせず銃や装甲車が
国道にある。
ああ、なんか精神がやられてしまいそうや。
やけに走行距離が気になるのは緊張している証拠。
道端で写真を撮っていると
おじさんが来た。
なにも話さずに僕の顔をじっと見る。
微笑んでみても、じっと見ている。
「Bye」というと、やっと笑って「Bye」とおじさんも言った。
国道脇のくずれかかった、というより
くずれたレンガの家からやたら長身の男がでてきて、
僕を見ると
「Go! Go!」
という。
ここから立ち去れという風に聞こえた。
走れ!という応援ではなく。
言葉以前に話す間合い、人との距離なのか
すこし何かがずれていて、うまく適応できない。
意識しなくても、感受性が高いところで
勝手にキープできている。それはいい。
これにどんな風に慣れていくのか、
この文化のどんなところが心地よく思えてくるのか。
この後、ヨルダン、シリアとアラブの国が続くけれど、
まあ、
シリアを出るときに名残惜しがっている自分が想像できるんやなあ
これが。
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