ムグリン

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ちょっと気を抜きすぎていました。
反省です、って
きっと何かの事故に会ったなら書いていたんじゃないかと
思うぐらい気が抜けたままカトマンズを出発。


パンクを一発するとやっと正気になった、気がしたけど
やっぱなんか眠たい。


田舎版ティハールが見たかったけれど、
カトマンズほど派手派手しいものはなくて、
時折お囃子の行列にすれ違うぐらい。


どの村でも目に付くのが、なにかの賭け事。
後から聞くと、ティハールに限らずお祭りのときに
よくやるらしい。


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数個の貝を振って、その表裏かなにかで
勝ち負けを決めているのだけれど
やり取りが早すぎて、単にお札が舞っているだけに
見える。




ムグリンはインド方面と西ネパール方面からの
ハイウェイが交わる交通の要衝で、
宿もレストランも充実しているけれど
汚い宿でも400ルピーと少し高め。



宿を探してウロウロしていると、
「私のコタに来なさい。」とサードゥ(ヒンドゥー教の行者)が
話しかけてきた。
「コタって何ですか?」
と聞くと、
「ホールだ」という。
ホールって劇場のホールの意味のホールなのか、
穴の意味のホールなのか区別がつかなくて戸惑っていると
近くにいた少年が
「とにかく警察署の裏だから安全だよ」と言う。
「お金は必要ですか?」と聞くと
「要らない。」


サードゥって、大麻ばっかり吸う上に
金にうるさい、案外俗っぽい人が多いので怪しげだけれど、
気を抜きすぎの僕は、たまには風変わりなところで寝るのも
いいかとついていった。
サードゥの生活も見てみたい。
劇場のような豪邸でも洞窟でも、なんでもいいか。


警察署の裏から小道にはいり、街をはずれていく。
川沿いの夜道をサードゥに導かれて
自転車を押していくのはさすがに心細かった。


着くとコンクリートで三方が囲われた建物があって
木製のベッドを指差し「ここで寝てもいい。」という。
真ん中には作りかけの真っ白なシバ神の像がある。
「数年後にはアーシュラム(修行道場)になる予定です。」
とサードゥ。


南京虫はもうこりごりなので
「外でテントを張ります。」
と言うと承知してくれた。



インドから来たお弟子さんが一人いて、とても謙虚な人柄。
「彼は12年間一言も発しない修行に8ヶ月前から入ったのです。」
多弁なインド人な顔をしているのに正真正銘の無口。
どおりで謙虚に思えたわけだ。納得。
それにしても12年て気が遠くなる歳月だ。


落ち着くと、ローティ(薄焼きのパン)とご飯を
出してくれた。
今晩は停電で、何色かわからない米を食べる。
なんかわからないけれど、塩と香辛料の味がする。
一緒にたべているお弟子さんは、寺男らしき人に
「アー」とか「ウー」とか言って指示をしている。
無言といってもそれはアリなんだと、
何でもゆるいインドらしさを感じて微笑ましい。


お弟子さんに手伝ってもらって建物の前に
テントを張り、横になる。
ジッパーをあけて首を出すと、蛍がゆっくり目の前を飛んでいく。



なぜか安心して寝付いてしまって朝。
「チヤ(ミルクティー)は飲んだか?」と
お師匠さん。
写真をとってもいいですか、と聞くと少し照れたようで
「牛と一緒ならOK」とかわいい返事。
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結局何事もなく夜をすごせたなあと、
喜びのあまりお布施をわたして、そのサードゥの住みかをでた。
僕にとってのおもしろいことのだいたいが夜にある。


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