石棉
分け入っても分け入っても山。
目の前に立ちはだかる高い山を
器用にまわりこんで、どんどん奥に入っていくのだけれど
そこにも人の営みがあって
中国人のたくましさに感心する。
そんな山奥で
道路清掃のおじさんに大きな声で呼び掛けられた。
この先は雪が積もって走れないから下山しろと。
標高はまだ1000mにも満たないところだったので
半信半疑で進んでいると
チェーンを履いたトラックが向こうからやってきて。
進めなくなったらヒッチハイクすればいいやと
思いつつも、不安。
雪山に自転車で乗り込むなんて、
自分はアドベンチャーサイクルをしているんだと
今さらながら実感する。
しばらくすすむと、この先2800m山頂、冬季管制区間の看板。
つづら折りの山道をひたすらこいだり、おしたり。
間違いなく、今までで一番しんどい道だった。
2000mを超えてから、どうも気分が悪くなってきて
まさかこんな高度で高山病か、と
ますます不安になったけれど、
インスタントラーメンを食べたら治った。
泥巴山というこの山、結局、山頂付近の道路に少し
雪が積もっている程度だった。
山頂からは一気に標高800mまで降った。
遠くに見えていた景色に、あっという間に近づくのは快感。