アルパインスタイル

そういえば私は何を一番大事にしたいのか?
準備に突っ走ってきたこの数ヶ月間どこかに潜んでいたことを考えた。


具体的にいえば、
誰かに頼ること、頼らないこと。この線引きをどう行うか、
これについて迷っている。


そんなものを今更迷っているのか、といわれるかもしれない。
熱い思いがあればおのずとわかるだろう?と。


途方に暮れて、何かヒントはないだろうかと
傍らにあった『旅と冒険』をめくった。


アルパインスタイル」という見慣れない言葉が目に付いた。
直訳すれば「ヨーロッパアルプスを登るような方法」。
エベレストのような超高地でも酸素ボンベを使わず
キャンプも立てず一気に登る過酷なスタイル。
大組織を組み、ルート工作・キャンプ設営をして登る極地法の対極にある
「登る人の力にのみ頼ること」を最重要視して行なう少人数の登山スタイル。


惹かれる。
酸素ボンベのかわりに強靭な肉体を。
テントのかわりに的確なルート設定を。
頼れるのは己の体と知恵のみ。
めちゃめちゃかっこいい。
成し遂げた後は最高のカタルシスで満たされるに違いない。


だが私はおおざっぱに言って「アルパインスタイル」とは逆の考えだろう。
無理解・語弊はあるだろうけど。


単独で、自分の計画を成し遂げたいとは思わない。
できれば、多くの人の協力を得て「帰ってきたあとも実りのあること」にしたい。
孤独な世界一周はいつでも誰でもできることかもしれず、
皆に助けられる世界一周は、それよりも価値のあることに思える。


でも本当に?それで後悔はないか?


一人では得られない価値も認めるが、一人でやりたい。
登山家・冒険家は皆きっとそういう葛藤があるはずで。


アルパインスタイル」ももちろん、ベースキャンプまでは大隊を組み、
そこまで行き着くには陰で多くの方の支援があるに違いない。


もう少し考える。


この今日のひどい、まとまらない文章は、
メモ代わりに日々思い至ったことを書き留めていた頃の文章を思い出させて、
妙にすがすがしい。