カサネ - 自転車世界一周配達日誌archives

道路に転がる糞の数が増え、
あたり一帯が動物園臭くなり、
そろそろ出てくるかな、と思うとやっぱり
その糞の主は道路わきからこっちをじっと見ている。

両目を真正面に据え、
大きな耳をパタパタと動かしながら、
牙を上に向ける仕草。
威嚇なんやろうか。

（僕の動物的カンで、この距離が近づける限界、
のような気がする）

前日にカサネで格安のゲームドライブに参加して、
車から飽きるほど野生の象を見たけれど、この
ピーンと張り詰める緊張感は全くなかった。

自転車で一人。
こっちも裸同然で、相当フェアに対峙しているわけで。
ああ、人間には爪も牙もない。とか、そんなことを考える。

野良犬が自転車だけを追いかけるように、
象も時折通り過ぎる車を全く相手にせずに、
草を食むのをやめて、こちらだけをずっと見つめてくる。
無理や。

結局、しばらく待って通りすがりの車を止め、
ガードしてもらいながら進んだ。
車を挟んでその真横を通り過ぎたときに、
その圧倒的な巨体が間近に迫り、生きた心地がしなかった。

カサネ以南の道は道路工事がおこなわれていて、
木々がなぎ倒され、ブルドーザーやダンプがひっきりなしに
動いているところにはさすがに象は出没しないようで、
それがわかると安心してこげるのだけど、
なんだかなぁ。

余談だけど、ここらでは
象のことをゾウとよぶ。
日本語とおなじ。