ブラショフ
シリアにいるときは、
「トルコにいったら泥棒が多いから気をつけなさい。」
トルコに行くと
「ブルガリアの警察は腐敗しているから気をつけなさい。」
ブルガリアに行くと
「ルーマニアのロマ(ジプシー)に気をつけなさい。」
まぁ、そうやって当たり前のように隣国の悪口を言うのだけれど
行ってみて、そのとおりだったためしはない。
ロマ(ジプシー)はヨーロッパ各地に分布しているけれど
ルーマニアの総人口に占めるロマの割合は2%、
約60万人でこれはヨーロッパ諸国の中で突出して多く、
ヨーロッパの人々はルーマニアと聞くとロマを連想させるぐらいだそう。
知り合ったルーマニア人は
「ロマ全てが悪いわけではないけれど、
やっぱり長年生活していると色々あるわけさ。
ロマが電車に乗ってきた途端みんな足元の自分の
カバンだけをみるようになる。」
ロマらしいロマを見たのはブルガリアに入ってから。
いまだに、ほんとに馬車に家財道具を一式乗せて移動している
アラブのようなインドのような褐色の人達。
あぁ、これがロマかと。彼らは元々インド方面から来た
定住地を持たない流浪の民で、なんたらかんたらといろいろ
ネットには出てきている。
浅黒い顔はここらの人とは全然違うけれど、
僕にとってはとてもなじみがある顔立ち。
この前いた首都ブカレストはきれいな新築の家の横に
荒れ果てた窓ガラスもない家があったりして、
その風景の感想をふと口にしてみたら、そのルーマニア人が
「あぁ、あれは今はもうオーナーが亡くなって
相続する人もいない家を勝手にロマが占拠しているのよ。」
「ほら、この通りはロマが多いから汚いでしょ。」
最近は日暮れが遅い。
夜の9時になってようやく、この調子。
このあと30分はまだ明るい。
もういいかな、とキャンプによさげな空き地を見つけると、
そこには先客がいてなにやらペルシャ語っぽい話し方をしている。
近づいてきて、あきらかに東欧らしからぬテンションで
「キナ?キナ?」と聞くので、
これは例によって「中国人か?」と聞いているのであろうと
判断して、「ジャポン」というと
なにかとても感激してくれて
「私はツィンガリ(ロマ)です。」という。
うわっ、ついに鉢合わせだな。という気分。
ルーマニア人達の「脅し」が相当効いていて、
僕は「いや、向かいの草原で寝ますよ。」
と近距離にテントを張るのを拒んだのだけれど、
おなかに手を当ててなにやら言っているなぁと思っていたら
ソーセージときゅうりとパンが出てきて。
覚悟を決めて、出されたものを食べるともう、近くにテントを
張るしかないわけで。
お酒も出てくる。
「ツイカ」というプルーンから作った蒸留酒。
30度ほどあるのだけれど、フルーティでけっこう飲める。
出されたツイカは驚くほどおいしくて、何杯もいただいているうちに
もうどうでもよくなってきた。
彼らだって、細い目の日本人は
得体が知れないのだ。
だからこうやって、同じ飯を食べようというのだ。
テントの中で横になったけれど
警戒心が勝って、あまり眠れなかった。
一度貼ったレッテルてものはなかなかはがせないものらしい。
素晴らしい人間の機能だ。
夜のテントは考えがとても単純になり、怖かった。
明け方から雨が降り出した。
朝、持ち物を点検したけれど
結局何もとられていなかった。
実際にロマと一晩明かして、自分は何事もなかったのだから
自分は彼らをいい人だと思う。
本当のことは何も知らないけれど、自分にとっては
そうだったので、そういい切ることにする。
雨の中、そそくさと出発するのをロマが引き止めたけれど
まぁ、出た。
「ロマは案外いい人だったよ」とこのエピソードを
ブカレストのルーマニア人にメールすると
「you are soo lucky!]
と返事がかえってきた。
やっぱりな、と思った。
にほんブログ村←横のバナーを押すと、ランキングがあがります&見えます
■■■■■■計画協力企業■■■■■■
★株式会社オージーケーカブト★株式会社モンベル★アズマ産業株式会社
★株式会社アルテリア★株式会社モチヅキ★株式会社キャットアイ
★株式会社エバニュー★株式会社エイアンドエフ★有限会社トヨクニ
★サムライ日本プロジェクト★大法紡績有限会社★有限会社東江物産
★株式会社マルイ★株式会社ティムコ★挨拶状ドットコム
★モベルコミュニケーションズリミテッド