ビエンチャン2

トッピーはどこですか?



長崎の源さんから頂いたラオス、ビエンチャン宛の手紙。
さて、いざ届ける段になってあて先を確認すると
「phonsay村」とだけ書かれていて、通りや番地は
書かれていなかった。


あて先はkannika keohavongさん(女性)。ニックネームはトッピー。
そして昔撮ったトッピーさんの写真。情報はそれだけ。
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病院に行ってから出発するともう日没の時間だった。
首都だというのに幾分たよりない街灯の下をしばらく走って
その村らしき場所に着くと、そこは想像していたような
アヒルやニワトリが駆け回り、子供が道路際で水遊びを
しているラオスの村落ではなくて、ずいぶんと立派な街だった。


こんなところで人探しって、だいぶおかしいことしているなあと思いつつも、
事前に源さんからメールで送られてきていた
トッピーの携帯番号には電話をかけたくはなかった。
ここまで来たのも奇跡なら、最後も奇跡に頼ってみようと思った。


最初に商店のおじさんにあて先のkannika keohavongさんの字を見せると
「あかん、ローマ字は読めん!」と逃げる。
その人のよさそうなおっちゃんを僕は引き留めて
昔の写真を見せると「おお、トッピー!」とおじさんは微笑んだ。


おじさんは「そこの寺の角をこう行ってこうだ!」と指差すので
僕も「こう行ってこうですか?」と身振り手振りで聞くと、
「そう!こう行ってこうだ!」


通りを行き過ぎたらしいと、なにやら直感めいたものがあって
また通りがかりの人に写真を見せて、
「トッピーはどこですか?」と拙いラオス語で聞くと
「トッピーはそこだ」と真っ暗な通りを指差す。


通りでたずねると、「トッピーは5軒先だ」
ここがトッピーの家かとたずねると「トッピーは2軒となりだ」
最後に隣の家のおじさんに遭遇すると門前から大きな声で
「トッピー!日本人だ!」



トッピーは不在だった。弟がいて、門前でしばらく話をした。
「僕たち兄弟はこの辺では少し有名なので、
だから皆トッピーを知っているんです。」
「昔はもっと田舎でした。4、5年前から変わり始めました。
外国人が多くなりました。」
そう、昔はれっきとしたラオスの村だったのだ、ここは。


弟と外で屋台のごはんを一緒に食べると、トッピーが帰宅していた。
居間におかれていた手紙を読んだらしく、ずっと微笑んでいた。


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甥っ子は大きくなった。



届けた感動?あるようでない。
手紙配達なんて実のところはどうでもいいやと思い続けて、
もう自分のこの2年ばかりの歴史をたどることには飽きてしまって、
パッと何かが沸き起こることはなかった。



「コーイチ(源さんの名前)と私はとても仲のいい友人なの。」
傍らにおかれた手紙に時おり目をやりながら話すトッピー。
ここには日本の古い友人との思い出に心が温かくなっているラオス人がいて
ここに居られることはとても心地よかった。