母からの手紙


少し前に母から小包が届いた。
中に便箋が入っていた。
今も傍らにその便箋はあるのだけれど、再び読む気にはなれない。


母の言いたいことは、
「おまえはおまえでいいから、肩肘はらずに普通に生活しなさい」
ということだったと覚えている。


普通に生活することはおまえが思っている以上に難しい。
そんな困難を避けて、そしてはそれはおまえが通らなくてはならない
道なのに、誰でもできることに逃げるのはどうなのか。
普通の生活を苦労して暮らしぬいていくことの方が母には価値のある
ことに思える。


自分の人生の大部分を3人兄弟を育てることにあててきた母のことを考えると、
母の手紙がそう語っているように思えた。